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2008年11月

ベニヤ板の響板

下の画像は某大手国産ピアノメーカーの超廉価版ピアノの内部です。写真では分かりにくいかも知れませんが、弦の後ろ側にある響板がベニヤ板になっています。

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コストダウンもここまで来たか!と言う感じです。響板はステレオで言えばスピーカーになる部分で 、弦の小さな振動を増幅してピアノの響きを作る重要な部品です。下は通常のピアノの響板です。一般的にはアラスカのスプルース(松の一種)を柾目にカットしてつなぎ合わせた物を使用します。音の振動は木目方向に速く伝達されます。そして、響板の裏側に木目と直角に響棒と呼ばれる棒状の部品を取付けることで、振動が全体にすばやく伝わるようになっています。

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品質の低いモデルは、一時的には売り上げに貢献するかも知れませんが、ピアノは廃棄されるまで市場に存在しますので、メーカーのブランドイメージは低下すると思います。

中国が台数の上では世界一のピアノ生産大国となった今、日本のピアノメーカーは、ヨーロッパ製に負けない高品質なピアノを製造することに注力していただきたいと願います。

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クリストーフォリのピアノ

昨日はクリストーフォリのフォルテピアノによるコンサートを聴きに行きました。このコンサートは(社)日本ピアノ調律師協会関西支部阪奈和地区の主催で、堺市にある「スペース クリストーフォリ堺」で行われました。

最初にピアノが作られたのは、1700年頃にイタリアのチェンバロ製作者であったバルトロメオ・クリストーフォリによるものだと言うことは良く知られています。それまで鍵盤楽器の主流だったチェンバロは、弦をはじいて音を出す仕組みのため、音の強弱がつけられませんでした。クリストーフォリは、ハンマーで弦を打つ仕組みを考え出し、音の強弱がられるようになりました。

音色はチェンバロに似ていますが、パルプを丸くした中空のハンマーで打弦しているため、軽やかで優しい響きでした。また4オクターブの音域とは思えない程表現力豊かな演奏でした。

後半は、このフォルテピアノの製作者によるレクチャーもありました。サイプレスやイタリアポプラなど、当時と同じ材料を使用していることや、響板が弦の張力の影響を受けないように内部が2重構造になっていること、チェンバロに似たボディーですが、ハンマーの打弦後の反発力を得るためにチェンバロより張力が高いことなど、製作者ならではの興味深い話を聞くことができました。

最後は楽器を弾かせていただくこともでき、当時の響きを手と耳で感じることができる貴重な体験でした。

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バットフレンジコードの交換

今月は、工房の中古ピアノも含めてバットフレンジコードの交換は3台目です。バットフレンジコードとは、アップライトピアノのハンマーが打弦後に、ハンマーがすばやく戻る為にあるバネ(バットスプリング)を留めているひも状の部品のことです。

20~30年前に製造されたヤマハのピアノは、このバットフレンジコードがもろくなって切れてしまっている事例が多くあります。バットスプリングが働いていないと、連続打鍵がしにくくなり、場合によっては発音不良の原因になります。

通常は数本から数十本切れていることが多いのですが、先日お預かりしたアクションは、88本が全滅でした。下の画像はアップライトピアノの裏側です。上が修理前で下が修理後です。中央部分の茶色に変色したひもが、白い部品に変わっているのがお分かりいただけるでしょうか?

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日本ピアノ調律師協会研修会

昨日、(社)日本ピアノ調律師協会関西支部兵庫地区の研修会が、神戸にて行われましたので、私も参加しました。

講師は元ヤマハテクニカルアカデミーの講師で、現在日本ピアノ調律師協会の本部理事をされている方を迎えて、グランドピアノの整調、整音について講義と実技を交えての研修でした。

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我々調律師の仕事は、出先で一人で行いますので、同業者の仕事を見たり、技術の交流をする機会が少なく、自己流に陥る危険性があります。今回の研修で正しい作業方法や、全体の作業の流れを学ぶことで、自分の仕事の再確認をすることが出来ました。

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白いグランドピアノ

今日は大阪府堺市でピアノ教室をされている阪口先生のお宅にお伺いしました。教室は南海高野線の北野田駅のすぐ近くにあります。

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実は先生のお宅にお伺いするのは約10年ぶりになります。以前数回しか伺ったことがなかったのですが、よく私のことを覚えていて下さったものだと感動しました。ピアノは以前お使いだったピアノから買い換えられていました。それがこの白いグランドピアノ(ヤマハG5)です。

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教室にはヤマハのアップライトピアノもあり、子供から大人まで幅広く教えているそうです。阪口ピアノ教室 TEL 072-235-6122

作業が終わってからお茶をいただきにリビングに入ったら、毛並みの綺麗な可愛い猫がいたので思わず写真を撮ってしまいました

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中古ピアノの調整

秋は外回りの仕事が忙しいので、工房の中古ピアノの仕上げが遅れがちになっています先日は現在調整中のヤマハU3の外装クリーニングや、内部の清掃、鍵盤の磨きを行いました。

そのピアノが以前にどれくらい使われていたかは、鍵盤の側面を見れば分かります。良く弾かれていたピアノは、側面の木の部分が黒く汚れていて、ひどい物は磨り減ってへこんでいる物もあります。側面をヤスリで削って汚れを取ったり、へこんでいる物は平面に修正します。下の画像の上が作業前、下が作業後です。

9日の日曜日にはヤマハU100も入荷予定ですので、作業を急がなければ。。。

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エンペラー

先日お伺いしたのは、もう20年近いお付き合いになる富田林市のお客様でした。大学生のお嬢様と中学生の息子さんがピアノを弾いておられます。

ピアノはエンペラーです。エンペラーは、現在は廃業した協立楽器のオリジナルモデルで、河合楽器製作所が製造していました。ハンマーにレンナーフェルトハンマー(ドイツのレンナー社のフェルトを使い日本で製造したハンマー)を使っていたり、チューニングピンをニッケルメッキにしている点が、レギュラーモデルとの違いです。

カワイのピアノは、タッチが重めで、音色が柔らかい楽器が比較的多いのですが、このピアノに付いていたレンナーフェルトハンマーは、少し小振りでフェルトも固めなので、タッチは軽やかで音色も芯があり、楽器との相性が良いように感じました。

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幸せを感じる瞬間

いつも調律の作業が終わった時に、ピアノを弾く人がその場にいる場合には、「よかったら一度弾いてみて下さいね。」と言うようにしています。ピアノに異常が無いかチェックしていただくためと、お客様の弾き方でその楽器がどのような音が出ているか、また普段そのピアノが弾かれている状態などを知るためです。

ピアノが弾かれている状態を知ることで、そのピアノの変化の具合との関連や、今後の作業の方向を探ることもできます。

お客様によっては、「(調律師が)帰られてから弾きます。」と恥ずかしがる方や、音階や曲を弾いて、直して欲しい個所を指摘される方などさまざまです。

先日お伺いした富田林市のお客様は、いつも奥様が一曲弾いて下さいます。作業後にお茶をいただきながら、ピアノを聴かせていただく瞬間が、調律師として幸せを感じるひと時ですので、毎年お伺いするのを楽しみにしています。

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